「私の、深紅の想いよ…………」


アリア様は胸に手を当て、瞳を閉じた。


「慈愛の女神、アリアの名の元に………」


燃えるように熱く、それでいて優しい気持ちが沸き上がる。


「愛の花の祝福を!!」


ーパァァァァッ!!



眩しい光と共に、アリア様の体が消え、赤い薔薇の花びらが舞う。そして、戦場へと降り注ぎ、火を消し去り、焼けた大地から緑が甦る。


ヴァンパイアは人間に戻り、その花の美しさに、皆が目を奪われる。


「アリア!!!」


あ!!!あれって!!!
アリア様の愛した人、セリ!!!


戦場で、剣を握りしめたまま、その花吹雪に向かって、必死に叫んでいるのが見えた。


ーありがとう


風とともに、声がセリの横をすり抜ける。それに気づいたセリは、泣いていた。


そして、花吹雪は、戦場にいた、アスランの元へも届き、アスランは空に手を伸ばした。


ーアスラン、あなたが慈愛の女神に


「アリア様!!」


アスランは悲しげにその花吹雪に触れ、それを振りきるように強く頷いた。


「アリア様と共に、このアルバンテールを護り続けると誓います」


そして、薔薇の花の祝福を受けたアスランの左鎖骨のあたりに、薔薇の刻印が刻まれた。


それと同時に、栗色の髪と瞳が、全て黄金へと変わり、民が驚きに声をあげた。