レインが何も言わないうちは、黙っていよう。まだ、話せる時じゃないんだ。


色々、考えている人だから……。まぁ、そんな時こそ頼っては欲しいのだけど…




そるにしても、シルビエ様……。



シルビエ様は、28という若さで領主の座につく、優しくてとても頭の良い方だ。何かあったのかもしれない。



「父様の所へ、今後の対策を練ろう。あなたは、直ぐに兵を城門前に集めて」


「ハッ!!」


兵は敬礼をして、部屋を出ていく。それを見送り、私は二人を振り返った。



「二人とも、行こう」


それに二人とも頷き、私達は王間へと向かう。その途中、やっぱりレインの顔色は悪く、一言も話さない。



「ねぇ、ルーク」



私は、先に歩くヘルダルフおじちゃんに気づかれないように、レインへと声をかける。



「どうした?」


こんな時でも私を心配するレインに、私は苦笑いを浮かべた。私=心配の方程式がレインの中では成り立っているらしい。


「ルーク、心配事があるんだね」


あるの?では、ルークに逃げられる気がした。ルークは、誰かを守ろうとするあまり、自分を疎かにしそうだから…



「っ………参ったな」


ばつが悪そうに頭をガシガシと掻く