＊外＊
「何なのあんた？いきなり外に連れ出してさ？寒いんだけど？」
「あぁ、ゴメン。自己紹介聞いてなかった？俺の名前は天海愛斗（あまみ まなと）。梨奈ちゃん？だっけ。つまらなそうな顔してたからさ。」
「気付いてたんだ。」
「だって目立ってたし。一緒に来た香ちゃんは、キャラ作ってた。君は素の自分を出してたもん。めっちゃ素直なんだろうなって思ってさ。」
そんなとこまで気づいてたんだ。
「そっか、ありがとう。もうわたし帰るよ。」
「あっ…送るよ。」
あぁ、この人もやっぱり同じか。
送るって言っていい奴になりきって結局体目当て。
体は売らないけどね。
「別に一人で帰る。」
「それはダメ！変な人に捕まるよ？」
変な人はお前だろ…。
ま、いぃか。
「じゃあ送ってよ。」
「素直でよし！」
テクテク…。
「もう、近くだしいぃよ。ありがとう。」
「そっか、分かった！あ、また会いたいから連絡先教えて？」
「は？…いぃけど。」
「…よしっ！ありがとう！じゃあまたねーおやすみー！」
………。
「はぁ！？ふつーに帰るの！？」
「え、なんで？…まさか襲うと思ってた？」
ぅわ…自意識過剰だった…ハズっ！
「そんなこと絶対にしないよ。好きな子には余計ね。」
この人は他の人とは違う…のかな？
「ゴメンゴメン。また会おうね！じゃあ、おやすみー」
その日はそこで別れた。
なんだろう、この人のことをもっと知りたいと思った。
2月のまだ寒い夜のことでした。
