「なお、おもしれーからもっと呼んでやれよ」

純平のその意地悪な言葉は先輩にもしっかり届いたようで、彼の身体がビクリと反応した。
小さく口を開いて息を吸い込んだ先輩は、だけど結局何も言い返さなくて。


純平にからかわれているのが分かっているのに反論できないその姿に、さっきの自分を重ねると少しだけ親近感が湧いた。

ボクだって別に生徒会長のことを名前で呼ぶのが心底嫌だったわけじゃない。
ただ押し付けられたみたいなタイミングでは口にしたくなかっただけで。


いやまあ、純平は多分今も、ボクのことも同時にからかっているつもりだろう。
けど、一度呼んでしまえばあとはどうってことない。
むしろ反応が面白いから、ボクももう一度呼んでみたい気は山々で。

だけど美紗は『面白くない』みたいだから、ここはひとまず遠慮しとく。