「生徒会長」

他人行儀にそう言った純平の声には、どこか棘が含まれていた。
心配になって顔を覗き見るけど、純平はチラリともボクの方を見ようとしない。

「他の生徒会のヤツらは、いねーんすか」


……あ。
その言葉で、純平の怒気の理由がなんとなく分かったような気がする。


美紗が言ってた。
あの時ボクを訪ねてプールサイドに来た女の子は――、『生徒会の書記で、会長の元彼女』だ。

純平はあの子のことを言ってるんだろう、多分。


ボクは別に、あの子がいようがいまいが全然気にしないのに。

あ、いや、気にするのは向こうか。
あと、生徒会長か。


――純平が気にかけたのは、一体誰なんだろう。