――『【素】の君を、もっと見たいと思ったんだ』
――『君を好きになった。――付き合ってほしいと思ってる』


いや、いや、いや。
余計なトコまで思い出して、慌ててブルブルッと頭を振る。


「どっちでもいいじゃねーか。ボク、もう外で食うのやだよさみぃし」


何も問題なんかねえよ。
逃げ隠れせずに暖かい室内で飯は食えるし。
会長とはとりあえずお友達にもなれるし(それで義理は果たせるんだろ)。


今までどおりがいいなら、2人で外に行けばいい。
ボクはもう、邪魔しないから。

半ば自棄になって、寒くて丸まっていた背筋を、意識的にピンと伸ばしたのに。


「お前はホント寒がりだな」

純平は、そう言ってボクの頭をクシャクシャと撫でた。
それを見て笑う美紗も、いつもと同じだ。


実質的には問題は何も解決してない。
や、その【問題】の実態すら曖昧で、ボク自身が多分それを掴めてすらいないんだ。


けどボクは、確かに感じた小さなシコリを――、見て見ぬフリをしたんだ。