桜もアスレチックも屋台も満喫し、十分に堪能した。


そしてようやくたどり着いた展望台に登った時には、すでに陽が傾いていた。
赤く染まっていく眼下の街に、ぽつ、ぽつ、と少しずつ明かりが灯っていく。


「わあ。ここ、夜景も綺麗そうだね」

「……そう、だね」


――夜景も見ていこうか、とは、先輩は言わなかった。


展望台の手すりにもたれて、落ちていく太陽をじっと見つめる。
障害物が何もない山の上からは、ボクらが住んでいる街並みも、遠くの山も海も、全部が見渡せた。