駐車場に着くと、すぐに桜祭りの会場が見えた。

立ち並んだ屋台にテンションが跳ね上がり、買ってきたコンビニのおにぎりもそっちのけでボクがたこ焼き屋やクレープ屋に走ると、先輩は咎めるでもなくそれに付き合ってくれた。


森の一角がアスレチックゾーンになっている。
そこでもボクは、子供に戻ったようにはしゃいだ。

一緒になってアスレチックに挑戦した先輩が、意外なことに運動神経もそれなりなのだと発見する。
「天は二物を与えたよ」と呟いたボクを、彼はきょとんとした顔で見つめていた。


少し汗ばんだ身体を冷やしながら、のんびりと桜並木を歩いた。
前を歩く先輩の手を――、つなぎたい。


沸き起こった衝動を、ギリギリで抑えこんだ。