「いいよ、気にしないで。ボクもちょうど、話がしたいと思ってたんだ」

ボクがそう言うと、美紗は弾かれたようにビクッと全身で反応を示した。

「あ、やだな。そんなに怖がらないでよ」

決別を言い渡しに来たわけじゃないんだから。


彼女の気持ちが、分からなくはなかった。
純平にキスされて気まずくなった後、彼からの着信で、ボクも考えたから。
もう修復できないボクらの関係の、決定的な最後通告を言い渡されるんじゃないかと。


ボクが苦笑を浮かべると、彼女も少しだけ体の力を抜いた。


「先に、美紗の話聞かせてくれる?」

何があって電話してきたのか。
どうしてあんなに焦っていたのか。
悲痛に叫んだ言葉の意味を。