午後に彼女の家へ行く、と、約束を取り付けようとして、カバンを漁って携帯を探る。

ボクの手はそれに辿り着く前に、機械的な震動を感知した。


メール……、電話?

バイブが3回で止まないから、メールではなく着信だと気付いて慌てて携帯を取り出す。

ディスプレイの表示は

「……!」

【小早川 美紗】


あまりに良すぎるタイミングに、思わず笑いが漏れた。


それまで毎日一緒にいたボクらが、別行動するようになって2週間。
目が合えば挨拶ぐらいはしたけど、彼女からボクにコンタクトを取ってくることなど決してなかったのに。