「お前がいらねぇんならオレにくれるって」

と迷惑そうに言ってる梶原が、本心ではそのネクタイを欲しがっているのがなんとなく伝わってきた。


「梶原、響先輩が好きなんだね」

「ば……ッ! なんでオレっちが男を好きなんだよ!」

慌てて否定する姿を見て、思わず吹き出す。

「違うって。ホモ疑惑じゃないから、安心してよ」


あの人は、誰からも尊敬され愛される人だった。
生徒会で交流した梶原が、その魅力に魅かれていたって何もおかしくない。


「そのネクタイ、本当は梶原が欲しいんでしょ?」