「生徒……会長!」

今にもボクを食べようとしていた女の子は、正気を取り戻したかのようにバッと身体を解放した。


「あっれぇ? ざーんねん。岸本直は、女だってよ」


ニヤニヤしながら「不純【同性】交遊になっちゃうね?」と言いながら、片手で松葉杖を操り梶原が近づいて来る。
女の子が目を見開いて顔を真っ赤にしたところを見ると、どうやらこの子は【マジ】の方(変態寄りの)だったようだ。


『チビ』と思っていたこの男もどうやら目の前の小柄な少女と並べばそこそこ画になる身長差で――、

彼はボクの目の前で、信じられないことに、必要以上に彼女との距離をどんどん縮めていった。


「……ッ!」

ついに後ずさる彼女の背中が壁にあたると、その頭上に杖を持っていない方の肘をかけてぐっと顔を近づけた。