振り払おうとしても逃げようとしても、意外なことにその小さな女の子に、ボクは力で負けていた。

おまけに身体にがっしり巻きつけられた彼女の腕の先が、肩、背中、腰、と撫でながら徐々に下へ降りてきて、その気持ち悪さに力が抜ける。

いやだ!
こんなトコで知らない女(変態)に食われたくない!


――という、絶体絶命の状況で聞こえた、救世主? の一声。

「あらぁー、不純異性交遊、見ーちゃった! やーらーしぃー」


余計に力が抜けそうなそのふざけた声の主を探す。
と、少し離れたところからこっちを見て、壁に寄りかかったままクフフと楽しそうに笑っているのは、予想通り梶原大吾だった。