「分かってるよ」

と、語気を荒げる彼を遮る。


「美紗が歪んだのは、半分はボクのせいだ。きちんと向き合わないで、本音を隠して、ただ一緒にいる時間を平和に過ごしたかった。ねえ、分かってよ、純平」


手を前に着いて、砂を握りしめて、少しだけにじり寄ったのは無意識だった。
顔が穴の入口近くに移動したせいで、視界が少しだけ明るくなる。


「時間が必要なんだ。すぐには無理だけど――、いつか、ちゃんと、話ができるようになる。それまで……、待って」


視線が絡んだ。
瞳の中から、気持ちを探りあう。

分かってほしい。
お願い――。