ギュッと純平の手に力が入ったのが分かった。
ボクが重ねていた手を離すと、ぐいっと手首を掴んでそのまま穴から引っ張り出そうとする。


ごめん、純平。
ごめん。


「純平の初恋はボクじゃない。多分、美紗でしょう。ううん、――想いのレベルが、桁が、違いすぎる。初めて本気になったのは、美紗なんでしょ」


分かるよ、分かるんだ、今なら。

純平が順番にボクらに恋心を抱いて、ボクが美紗よりも先だったのだとしても。
その違いが、今ならボクにも分かるんだ。


「だから、美紗を一番に大事にして」

「勝手に友達……止めんなよ」

掠れた、切ない、弱々しい声。


「止めないよ。だから、祈ってる」

「そういうことじゃねえ!」