14年一緒に過ごして。

初めから嫌いで、いつの間に彼女の存在がそんなに大きくなったのかも分からなくて。
再び信じられなくなって、騙されて、傷ついて。

それなのに。


「嫌いには、なれない」


無理やりに恐竜の中に入ってこようとしていた純平の片足が引っ込んで、代わりに、手が伸びてきた。

今までに一度もなかったような優しさでボクの頬に触れたのは、ボクが泣いていないかどうか、確かめようとしたのかもしれない。


泣かないよ、……泣けない。
ボクはここでは、涙を流さない。