「何が……言いたいの? お前」


ようやくボクがしゃべるのを止めた時、純平は掠れた声を絞り出した。

何が?
そうだね、ボクも、実のところ良く分かっていないんだ。

ただ伝えないといけないと思ったことを、取り留めもなくぶちまけているだけ。


「美紗の言葉のどれが嘘なのか分からない」

「……それは」

「どれが嘘でも、許せそうにない」

「――ッ」


ボクが座る狭い空間に、純平が侵入しようと片足を踏み入れる。
そこに、入り込む余地なんかないのに。


「だけどどうしても――……」

許せなくても、それでも。


「やっぱり、あの頃のように嫌いには、どうしてもなれないんだ」