恐竜のお腹の中でボクが体育座りをすると、入口を塞いでいた純平は目線を合わせる様にそこに跪いた。
それで距離が近づいても、純平の顔は逆光で見えない。


「ボクの方が先に好きだったんだ。――純平のこと」

多分、こっちの顔も薄暗くて分からないんだろう。


「初恋どうし、だね」

「おま――、」


まだしゃべらないで。
全部言わせて。
そっと手を伸ばして、開きかけた純平の口元に人差し指を立てる。


「純平が好きだった。そして、美紗が嫌いだった。多分それが、ボクの原点だよ」


大好きな純平と、一緒にいたかった。
そこに美紗がいたから、3人一緒にいるのが当たり前になっただけなんだ。


「美紗が嫌いだった。それはヤキモチで、妬みで、――そして、羨望だった」