恐竜の頭によじ登ると、そこからは遠くの山に落ちていく太陽がよく見えた。


そこは狭くて不安定で、子供の頃ならいざ知らず、身体が大きくなってしまった高校生2人が並んで座るほどのスペースなどなくて。

例のごとく先に頂上に辿り着いた純平が悠然と座る頭のほんの少し下、ボクは恐竜の鼻先と首にしがみつく様な間抜けな体勢で、沈んでいく夕陽をじっと眺めた。


「綺麗だね」

「……ああ、まぁ」

純平は鼻の頭を掻きながら言葉を濁す。


それくらいでいい。
ボクは別にロマンティックなムードを求めているわけじゃないのだから。

ただ少し、感傷に浸りたかっただけだから。