恐竜の長く伸びた影が、純平を飲み込んでいた。

「ねえ、登ろうよ。……てっぺんからなら、夕陽が見えるかも」

「……ッ」


『話をしに来たのに?』
純平のそんな異議申し立てが始まる前に、

「ほら。早くしないと、沈んじゃう」

手を引いて、急かした。


今、この瞬間にしか見えない景色を。
一緒に見ようよ。


「……しゃあねぇな」


ほら、やっぱりね。
純平がボクの誘いを断らないこと、ボクは、知ってたよ。