西に傾いた太陽は建ち並んだ住宅の屋根に隠れて直視できないのに、やけに紅い光が眩しい。

それが道の東側に並ぶ家の窓に反射した夕陽だと気付くのに、そう時間はかからなかった。


目的地まで、ゆっくり歩いても10分とかからない。
空がまだ紅い内に、会えるかもしれないな。


指定された待ち合わせ場所に、ボクは5分早く着いた。
その――【タイヤの公園】の入口に立つと、ボクよりももっと早く着いていたらしい目的の人物のシルエットが見える。


歩み寄って声をかける前に、最後にもう一度自問した。

本当にあの人が、ボクの初恋の相手なのかどうか。