「……生徒会長権限で、子羊ちゃんを相談部屋にご招待しちゃおっかなぁー。今なら特別、【正しい授業のサボり方】のおまけ付き。いかが?」

へラッと笑った梶原。
だけど目だけは真剣で。

もう一度頭に響いた『アイツに頼るといいよ』という先輩の言葉が、ボクを後押しした。


「……その話、乗った」

「よし来た」

短い言葉を交わして、梶原はすぐに歩き出す。
松葉杖と片足が奏でる不規則な足音の後ろを、ボクは黙ってついて歩いた。


彼が向かったのは保健室だった。

ノックも無しでガラリと乱暴にドアを開けると、

「おっよー涼子ちゃん! ひとり!?」

中にいたおねーちゃん先生に向け、非常識なくらい馴れ馴れしい挨拶を放った。