呼びかけてきた後輩らしき人物と一言二言交わして別れた彼が、不意に顔を上げて、目が合った。
「おー、岸本じゃんッ! 珍しいな、1人で登校?」
笑いながら近寄ってくる現生徒会長、梶原大吾の顔が、途中でピタリと固まって引きつった。
「お前……なんかあったん?」
――【生徒会長スペック】ってのは、スゴイな。
何も語らなくても、顔を見ただけで、察しちゃうのか。
「……ずっと大事にしてきた宝物が、急に色褪せて見えたんだ。それで――、もういらないって。叩き壊した」
考える前に、口が動いた。
誰かに聞いて欲しかったのかもしれないけど、明確な言葉を使わなかったのは、コイツを試したかっただけなのかもしれない。
「おー、岸本じゃんッ! 珍しいな、1人で登校?」
笑いながら近寄ってくる現生徒会長、梶原大吾の顔が、途中でピタリと固まって引きつった。
「お前……なんかあったん?」
――【生徒会長スペック】ってのは、スゴイな。
何も語らなくても、顔を見ただけで、察しちゃうのか。
「……ずっと大事にしてきた宝物が、急に色褪せて見えたんだ。それで――、もういらないって。叩き壊した」
考える前に、口が動いた。
誰かに聞いて欲しかったのかもしれないけど、明確な言葉を使わなかったのは、コイツを試したかっただけなのかもしれない。