既にほとんどコントロールが利かなくなってる箸はせっかく目標をとらえても見事に皮に弾かれて滑り、カツンと弁当箱の底に当たった。
隣から冷たい視線を感じるけど、気付かないフリだ。


……くっそ、さみぃ。

「さみー」

うっかり心の声が出ちゃうくらい、寒い。
なんでこんな寒いのに、外で昼飯食べなきゃいけないんだ。


色々めんどくさくなって、結局弁当箱を傾けてかっ込んだ。
箸としてもフォークとしても機能しなくなっても、スプーンくらいの動きは出来る。


「なお、お箸ちゃんと使いなさい。あと、言葉遣いが悪い」


……案の定、怒られた。
でももう、食べ終わりましたから。