「ね、でもさ。純平は美紗が初恋なんでしょ？」

「しつけーな、お前」

「まぁいいじゃん、それくらい」


純平は勿体ぶったように――、いや、話すかどうか迷った様子でどこか遠くを見つめて、それからボクの顔を見て、遠くを見て、またボクの顔を見た。
あんまりジロジロ見られるから、気味が悪い。

「なんだよ」と眉をひそめると、独り言のように「まぁいっか」と彼は呟いた。


「俺の初恋、知りたい？」

え……それって、美紗じゃないってコトか？


「お前、顔変だぞ」


驚きすぎたボクの顔をけなす無礼者に、返す言葉が見つからない。
実際今ボクは、大分おかしな顔になっていたと思うから。