「……すごい好きなんだね、美紗のこと」

ボクが右手に込めた力を抜いたのを確認したのか、純平はフンと鼻で笑ってから前を向いて歩き出した。


強い気持ちを隠さずに言い切れる純平を、少しだけカッコいいと思う。
――絶対、そんなことは言ってやらないけど。


「ね、いつから? いつから美紗が好きだったの?」

纏わりつくようにして突っ込めば、照れたように鼻の頭を掻いて目を逸らし、それでも

「中学の――いつか。気が付いたら」

と答えてくれた。


「ねえ、どんな感じ? 恋ってどんな気持ち?」

「うるせーな、お前っ!」


ウザそうにシッシッと追い払う仕草をしながらも、純平はなんだか嬉しそうに見えた。