「ねぇ、もう1個聞きたいことがあるんだけど。……ねえ。――ねえーッ!」

大声で喚き続ける純平の声を直接聞かないように携帯を遠くに持ったまま、呼びかけ続けること3回。
ようやくその【雑音】が収まったのを確認して、改めて携帯を耳に寄せる。


『……それはまた【もし】の話か?』

もううんざりだとでも言いたげな不服そうな声が、笑いを誘った。

「いや、今度は純平の現状について」

『はあ?』


純平にしか聞けない、純平だから聞けることは、山ほどある。
14年かけて分かりあってきたからこそ聞けることが。
純平が男だからこそ聞けることが。


「好きな女と2人っきりで勉強会って、どんな感じ?」