「なお、おはよう」

朝食を準備中の母は、手を止めずに言った。

「おはよ、母さん」

母が皿を運ぶためにキッチンから出たのと入れ替わりに、冷蔵庫へ直行して牛乳を取る。
手に持った感じ、中身は半分切ってた。

「コラなお!」

……パックのまま口を付けたら、まんまと見つかった。
このまま飲み干すから、大目に見て欲しい。
小言は軽く流して(これもいつものことだ)、食卓の定位置に着く。

並んでいるのはベーコンと卵と海藻サラダとスープとパン、いつも通りの朝食。

に、最後にどんっと追加された、から揚げの山。
なるほどいつも通りではない、なかなかヘビーな朝食だった。


「昨日の夕飯」

と、母が言う。
晩飯も食わずに帰るなり寝てしまったことについては、何も聞いてこなかった。

――そう言えば、生徒会長も何も聞かなかったな。


「ねえ、母さん」

「何?」

「ボクって泣いたことある?」