【通話】に伸びかけた指が、緊張で震えていた。

この電話が、一体何のために掛かってきたのか分からない。

仲直り。
あのコトの言い訳、謝罪?
それとも。


結局ボクたちは友達にすら戻れないという、最後通告を言い渡すためかも知れない――


……否!!
それでもボクは。
そんなのは、嫌だ。
【あんなコト】くらいで――、純平を失うのは、嫌だ。


【通話】を押す。
携帯を耳に当てる。

話をしなければ。
今、ちゃんと、向き合わなければ。