「また明日、よろしくお願いします」

目を細めて片手を上げ、そのまま先輩は去って行った。
その背中が見えなくなるまで見送ってから、部屋へ引き返そうと振り向いた瞬間――、


「あれは、お前の彼氏なのか」

仁王立ちした父さんがいつの間にか後ろに。
……色んな意味でビビった!


「違うってば。ちゃんと人の話聞いてた!?」

学校の先輩だって紹介したのに!

ボクが怒鳴ると、ヒクッと父の片眉があがった。


「まあ、アレだ。あの男は、悪くない」

「……はっ!?」


言いたいことだけ言ってそそくさとリビングに戻る父の後ろ姿に、ボクは何とも言えない呆れた気持ちでため息を吐いた。