「傷つけたくないって、大事に思われてる」

歪んだ笑みでは隠し切れなかった

「壊したくないと思わせるだけの絆を持ってる」

暗い影と

「僕には元々、……何もないからね」

自嘲――。


顔を上げて、違うと言いたかった。
ボクは決して先輩を、……先輩なら、傷つけてもいいと思っているわけじゃない。


これは答えが出る前に、ちゃんと答えを出す前に、彼に甘えてしまったボクの罰なんだろうか。
先輩の手は、ボクが頭を上げることを許さなかった。


そうじゃないのに。
ボクにとって先輩は、……先輩も、大切な――




……た い せ つ な ――……?