「どーりで……、点が伸びないワケだよ」

がっくりとテーブルに覆いかぶさるように伏せたボクの頭の上に、ふわりと重なる何か……、もう覚えた、先輩の手が乗っかった感覚。


「大丈夫、すぐに覚えるよ」

甘い声が耳をくすぐる。

生徒会室で定位置だった隣同士よりも近い距離感に、一瞬だけ目眩が――、

とか言ってる場合じゃないし!
あぶねっ、またおかしなスイッチ入るとこだった。


ガバッと身を起こし、頭を左右に何度か振って、残った問題に向き合う。

一問解くごとに先輩の目を見れば、その度にこくりと頷いてくれる。
言葉はなかったけど、「うん、合ってる」「良く出来ました」と言われている気がした。

それが何だか嬉しくて、問題を解くスピードがどんどん上がっていく。
最後の問題を解き終わってバッと先輩の方へ身体を向ければ、彼は目を細めて笑っていた。