先輩は、そのすらりとした体格からは予想も出来ない力強さでボクの手を引っ張って、背中を引き寄せて立ち上がらせる。
されるままに引き上げられたボクの上半身は、その勢いでぐっと先輩に近づいた。
ボクは自分にこんなに力が入らないことがあるなんて思わなかったし、多分先輩もそうだったんだろう。
無抵抗に引き上げられた身体はそのまま勢いに任せて前に倒れ、ボクは先輩の肩に鼻をぶつけた。
――知らないヒトの、匂いがした。
その人は、一言も何も発しなかった。
ただ動けなくなったボクの背中を押して、その場から連れ去ってくれた。
ボクはさっきまでこの人から逃げようとしていたことなんてすっかり忘れていて。
それどころか促されるまま機械的に足を動かしている内に、いつの間にか、彼がそこに存在していることすら忘れてしまった。
されるままに引き上げられたボクの上半身は、その勢いでぐっと先輩に近づいた。
ボクは自分にこんなに力が入らないことがあるなんて思わなかったし、多分先輩もそうだったんだろう。
無抵抗に引き上げられた身体はそのまま勢いに任せて前に倒れ、ボクは先輩の肩に鼻をぶつけた。
――知らないヒトの、匂いがした。
その人は、一言も何も発しなかった。
ただ動けなくなったボクの背中を押して、その場から連れ去ってくれた。
ボクはさっきまでこの人から逃げようとしていたことなんてすっかり忘れていて。
それどころか促されるまま機械的に足を動かしている内に、いつの間にか、彼がそこに存在していることすら忘れてしまった。