「数字とアルファベット、好きなんだ」

その言葉の意味は良く分からなかったけど、続きが聞きたくて促すために小さく頷いて見せる。

「数字は10個、アルファベットは26個しかないだろ。けどその組み合わせ次第で、無限の意味を持つ。面白いと思わない?」


言っていることは、……分からなくもない、ような。
や、うーん、どうかな。
ボクにはそういう感覚はなかったな。


「それに対して、日本語は難しいよね」

この言葉には首を傾げるしかなかった。

だってボク、日本人だし。
確かに――、ひらがなだけでも、文字数だけで言ったら優に数字とアルファベットの合計を超すけど。


常用漢字だけでも2000文字を超えるんだよ、と教えてくれた先輩の知識に感心しながら、ボクは少しだけ、数字そのものに対する嫌悪感が和らいでいくのを感じていた。