「美……――ッ」

急いで飛び出そうとして、部室棟の角から向こう側へ出かかった身体を、ボクは一瞬で引っ込めた。


なんで……
ナニガ、起こって……?


一瞬見えた光景を、脳が拒否した。
理解が追いつかない。
いやそうじゃない、理解したくないと思っているからだ。


フラリ、足元がグラついた。
ドン、と、部室棟の壁に背中が当たる。
ついでに、ガツンと頭も当たった。

……痛ぇ。


そのまま足の力が抜けてずりずりと座り込んだところに、生徒会長が現れた。

先輩の目が見開いて口を開きかけたけど、何かに――角の向こうにいる2人の存在に気が付いたのか、その口はすぐに閉じられた。
彼はほんの一瞬だけ、殺気立った目でそっちを睨みつけた。