その時になって『先生』が美紗じゃないことに気付いた母に、どんな反応されるかは分からないが――、

昨日ウチに来てたあの人だよ、とは、何となく言いづらい。


「あらそう、珍しい。ダイニングで?」

「ううん、ボクの部屋」

「大きいテーブル出しとこうか?」

その提案に少しだけ考えて、首を横に振る。
勉強会と言っても勉強をするのはボクだけなのだし、ミニテーブルで十分だ。

……母さんは美紗と純平が来ると思い込んでそう言ってるのだろうけど。


勉強机に向かうのとミニテーブルと、どっちが自然かなと想像して――、

机の横に先輩を立たせるのはあまりにも不自然なので、頭の中で、そこにダイニングの椅子を置いて座らせてみる。
……イメージしたその光景は、やっぱりどこか変だった。

うん、ミニテーブルにしよう。