梶原がいつまでもじっとボクを見ていることに気づき、居心地が悪くなった。


「ちょっと、見すぎじゃない?」

「安心しろ、一目惚れしたワケじゃないから」


……いやまあ、それは分かってるけどさ。
飄々としたこの男のペースは、イマイチ掴めなくてやりにくい。


梶原の食べかけの弁当を見て、時計を見て、もう一度弁当を見る。
ボクのその視線の意味に気づいたのか、梶原は急いで弁当の残りをかき込んだ。

予鈴が鳴るまでそこで過ごし、最後に名残惜しいような気持ちで室内を見渡してから席を立つ。
一応の礼儀として「お世話になりました」と告げるボクを、梶原が呼び止めた。