急にこの場所が、ボクには場違いなものに思えてきた。

時計を見上げる。
昼休みの残り時間は、10分を切っていた。

元々生徒会以外の一般生徒は立ち入り禁止の部屋だった。
予鈴が鳴ってこのドアを出たら、もう二度と、ここへ足を踏み入れることはないだろう。


電話がつながったまま、携帯が戻ってきた。
そっと耳に当てると、ボクを呼ぶ柔らかい声がくすぐる。

先輩は梶原が近くにいることを考慮してくれているのか、ボクがYESかNOで答えられる質問だけで放課後の勉強会の約束をして、通話が終了した。


――ボクの北極星は、あの人なんだろうか。