美紗と純平のところへ行くには、まずは校舎から出ないといけない。
ボクたちは無言のまま、階段を降りた。


後ろからついてくる足音は、美紗のヒールのカツカツ鳴る音とも、純平のちょっと引きずるような音とも違っていた。

私服の高校なのに先輩はきちんとしたシャツとネクタイという格好で、足元もそれに合わせた革靴だ。
その靴が鳴らす規則正しい足音を、ボクは無意識に数えていた。


足音を吸収してしまう自分のスニーカーをじっと見つめながら歩く。
せめてこの靴も音を立ててくれたら、こんなに後ろの足音を気にしなくて済むのに。


何もかもが初めてだから。
頭ん中の整理が、まだ、つかない。