冷たいタオルは腫れた目に気持ち良かったけど、やはり母が言った通り劇的な効果はなかった。
そうこうしている内に家を出なければいけない時間が近づき、憂鬱に憂鬱が重なる。
無意識に「あーっ!もうっ」と苛立ちの言葉を吐き捨ててしまったところに、したり顔の母が近づいて来た。
「……なんだよ」
目を上げる気力も起きずに冷たくそう言ったボクのいつもより少し狭まった視界に、白いモノが差し出される。
「良かったわね、なお。花粉の時期で」
……マスク。
意味が分からない。
「マスクじゃ目は隠れないんですけど」
「隠さなくてもいいのよ。そもそも目を隠したら外歩けないでしょうが」
歩けない……それは仰る通りだが、ますます意味が分からなかった。
花粉とマスクが、腫れた目とどう結び付くんだ?
そうこうしている内に家を出なければいけない時間が近づき、憂鬱に憂鬱が重なる。
無意識に「あーっ!もうっ」と苛立ちの言葉を吐き捨ててしまったところに、したり顔の母が近づいて来た。
「……なんだよ」
目を上げる気力も起きずに冷たくそう言ったボクのいつもより少し狭まった視界に、白いモノが差し出される。
「良かったわね、なお。花粉の時期で」
……マスク。
意味が分からない。
「マスクじゃ目は隠れないんですけど」
「隠さなくてもいいのよ。そもそも目を隠したら外歩けないでしょうが」
歩けない……それは仰る通りだが、ますます意味が分からなかった。
花粉とマスクが、腫れた目とどう結び付くんだ?