「よろしく……お願いします」

ボクが返した笑いは、多分ぎこちない。


流れた微妙な空気をはぐらかすように、

「場所はどうしようか」

と彼が早口で捲し立てる。

部屋をキョロキョロ見渡しながら、

「なおが良ければ、ここでも僕は構わないけど。もし嫌なら、学校でも図書館でも……」

と続けられた言葉が、だしぬけに中途半端に途切れた。


「……それも、なおが作ったの?」


ミニテーブルの上に純平が残していったクマに、先輩は視線を定めていた。


「可愛いね」

と――、痛々しく歪んだ作り笑いで、彼は言った。


心臓が、止まるかと思った。