あの時はあった支えが、今はない。
それに気付いた途端、急激に不安が襲ってくる。


――孤独――……


美紗が見ていたのは、【男】のボクだった。
純平に必要な慰めを与えることすら許されない。
ボクを守ってくれると言ったはずの人さえ、どこかへ行ってしまった。


ボクは、【本当の】ボクは、もう誰にも必要とされてない。


勝手に動いていた足が不意に止まる。
気付いたら、2年6組のプレートが掲げてある教室に着いていた。

はは、染みついた習慣って恐ろしいな。


授業中であるにも関わらず、事務的に習慣通りに動く身体はボクの意思を無視して扉を開けた。