ホワイトボードの裏にまわると、純平の姿が見えなくなった。
その部屋のあまりの静けさに、存在すら消えてしまったのではないかと不安が襲った。


「……じゅんぺいっ!」


慌てた。
叫ぶように名前を読んでしまってから、何を馬鹿な、と後悔が沸き起こる。


たった今、拒否されたばかりじゃないか。
彼はいなくなったわけじゃない、ちゃんとそこにいる。
ただボクが隣にいることを、許してくれなかっただけじゃないか。


返事は来なくても、ホワイトボードの向こうで、確かに動いた彼の気配がした。


「――……一緒に、帰れる?」

「……迎えに、来てみて」


YESでもNOでもない、その答え。
でも、完全な拒絶ではない。


必要なのは――、【時間】なんだ。