響先輩が放心した純平を無理やり立たせ、引きずるように中へと運んだ。

それからドアまで戻ってくると、ボクのチョコを持っていない方の手を引っ張って、部屋へ入れる。


純平はソファにいた。
ボクは無抵抗のまま、導かれるままにいつもの席に座らされる。


先輩は床に片膝をついてボクに目線を合わせると

「大丈夫?」

と聞いてくる。


何がだろう。
何が大丈夫で、何がダメなんだろう。

ボクが今大丈夫じゃない理由って、一体何?


分からないまま、身体は勝手にコクリと首肯した。
それから「彼女は?」と聞かれ、無言でドアの向こうを見やった。


あの廊下の先へ、1人で消えていきましたよ――。