「なお……ソレ、どういう……――あ、……と、友チョコ?」


絞り出すような純平の声が痛々しい。
無理やりに明るくしようとする言葉は、余計に苦しさを増した。


友チョコ、か。
そういう事にしてしまえたら良いのに。

そうしたら少なくとも、純平は傷つかなくて済む。

そうだ、彼は美紗の話を聞いてないのだから。
このまま知らずにいればいい。
知らせる必要なんて――。


「――何があった?」

響先輩の冷静な質問が、ボクに嘘を、許さなかった。


けど、本当のことなんか言えない。
……言いたく、ない。


黙っているボクから真実を読み取ったのか、純平はその場に崩れるようにしゃがみ込んだ。