いつだって美紗は完璧な女の子だった。
ボクは彼女が羨ましくて、妬ましくて。


ボクもそうありたいと、願ったことがないわけじゃない。


そうしようと試みようとすると決まって、ボクを元の位置に引き戻したのは美紗だった。

『もっと女の子らしくしなさい』と言いながら、それと正反対のことを、ボクに常に求め押し付けてきたのは、美紗だ。


美紗はとても小さくて、可愛らしくて、弱いから。
誰かが守らないと、すぐに壊れてしまう。


それが純平の役目であり、そしてボクの役目だった。

純平だけでなくボクのことも、彼女は手離そうとしなかった。
そうだ彼女は、どちらか片方では満足出来なかった。

知性と教養を身に着け、大抵のピンチを言葉で回避できるようになっても尚。