彼女がいなければ、純平は傷つかなくて済むのに。

血だらけになって1人で戦った純平が、美紗の盾になって美紗の代わりに殴られたボクが、あの時、どれだけ痛くて、怖い思いをしたか。


ずっと、美紗なんかいなくなればいいのにと思っていた。


それなのに純平は、決して彼女を切り捨てようとしなくて。
だから結局、ボクから離れることも出来ないまま。

そんな関係がずっと続いて、一緒にいるのが当たり前になって――。


ボクは強くなったんだ。
傷つかなくて済むように。
傷つけなくて済むように。

強くなった……もしくは、そのフリが、出来るようになった。


そうじゃなかった頃の自分に。
戻りたいと思った時には、もう、遅かった。