純平にボクよりも大事にされる美紗が嫌いだった。

怖いのも痛いのも我慢して、身体を張って美紗を守らないといけない自分が惨めだった。

自分で立ち上がろうともせずにただ泣いている美紗が嫌いだった。

美紗のせいで純平が傷だらけになるのが耐えられなかった。


足手まといだと思っていた。
自分では逃げることも戦うことも出来ない美紗の代わりに、純平が美紗の敵と戦って、ボクは美紗を守る盾にならなければいけなくて。

ボクだって、純平だって、沢山沢山痛かったし、沢山沢山怖かったのに。


それでも美紗を切り捨てようとしない純平のために、ボクは強くならざるを得なかったんだ。


『なお、コワいよ。たすけて、なお』


ボクを盾にして、ボクに縋って泣いていた小さな美紗を――、壊したいと、思っていた。