ガタンと大きな音が鳴り、身体がビクッと反応する。
音の正体は、動揺した響先輩が一瞬腰を浮かせたせいで傾いた椅子だった。


美紗の言葉を冷静に分析する。
それって、ボクが純平を――……?


「いやだ、会長。勘違いしないでくださいね。それが恋心かどうかなんて、私は知りませんよ」

ボクが(そして先輩が)至りかけたその結論は、美紗本人によってあっさりと否定された。

名前を出された純平も、わけが分からないという顔で美紗を探るように見つめている。


鐘の音がどんどん大きくなる。


聞いちゃだめだ。
聞いてはいけない。

聞いてはならない。
キイテハならない。

思い出してはイケナイ。