先輩と美紗が必要以上に大げさに喜んでくれた後で、この落差が与えるショックは余計に大きかった。


急速に冷めていく温度に、自分でも驚きながら――、

なんだよ、純平のバカ。


心の中で悪態をついて、それで済まそうと思った。
だけど。


「……先輩?」

と、純平がいつになく真面目な口調で呼びかけた。
響先輩の表情を窺うように。

そうだ、コイツは……こういう分かりづらい、気遣いの出来るヤツなんだった。


「俺、食べますよ?」


美紗なんか先輩と奪い合うようにして食べたってのに、コイツは……。


純平の先輩に対するこの気遣いは、正直ボクにとってはかなり気まずいのだけど。
その点には気付いてなさそうなあたりが、純平らしいっちゃーらしい。